氷河期の僧侶

2019.02.28 Thursday

二月を振り返り一言で表しますと「暖かだった」に尽きると思います。

 

そんな中、とある書店で本を購入して入口を出たところに「氷河期の僧侶ー気がつくとそこは氷河期だった」と銘をうったガチャガチャが置いてありました。

 

「いったいこれは何なのだろうか?」

 

と興味半分、百円玉二枚入れてハンドルを右に回すと「ゴトッ」とカプセルが落ちてきました。

 

早速、カプセルを外して中身を取り出すと「氷河期に坐禅をする僧侶」が入っていました。

 

「なぜ氷河期に僧侶が坐禅?」

 

考えれば考えるほど謎のフィギュアです。

 

カプセルの中にあった三つ折りのパンフレットを見ると「忍び寄る極寒の睡魔。己に勝ち、生きるか。己に負け、眠りにつくか。人生は、ただ二つ。生きるか寝るか。それだけである。」と哲学的なことが印刷されてありました。

 

自分も僧侶ながら、ガチャガチャで色々と考えされられたのははじめての出来事でした。この「氷河期の僧侶」はどのようなコンセプトで作られたのかネットで調べてみますと、この企画は真夏に偶然「托鉢僧」の姿に感銘を受けたことがきっかけで商品化がはじまったとのこと。

 

氷河期をどのようにとらえるかではないでしょうか。

氷河期とは太古の時代を指すだけのものではないのかもしれません。
たとえば、ひとつの考え方として、生きることは苦しいことであり、それぞれの時代や人生において、就職氷河期、結婚氷河期、失恋氷河期など氷河期は存在するのだと思います。

そう考えてみると、彼らが修行を続けていることは、それは私たちが日々の苦難に立ち向かう姿と重なる部分があるように思います。(※FNN PRIMEより引用)

 

当初、意味不明なガチャガチャでしたが、素晴らしいコンセプトを知るにつれ、何回か挑戦して四種類コンプリートしました。以下、写真で紹介したいと思います。

 

 

坐禅をする僧侶↓

 

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つららがいかにも冷たそう

 

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托鉢する僧侶↓

 

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網代笠に積もった雪がすごい

 

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作務をする僧侶↓

 

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寿司のネタではありません。雑巾がけをしている僧侶の背中に雪が積もっているのを表しているようです。

 

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念仏する僧侶↓

 

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なぜ坐禅の警策のように木魚のバイを立てているのかは謎です。

 

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パンフレットの表紙↓

 

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パンフレットの表紙

 

このガチャガチャは子供向けなのでしょうか?どのような人が興味を持つのか知りたいところです。

仏旗

2018.12.28 Friday

先日、瑞雲寺山門にカラフルなデザインの旗を掲げる行事がありました。行事に参加された方の一人から「あの旗はどこの国の旗ですか?」と聞かれましたので、「仏旗(ぶっき)と申しまして、仏教を象徴する旗です」と答えました。

 

この旗は、世界仏教徒連盟(WFB)が結成され、スリランカでの第一回世界仏教徒会議が開かれた1950年に、正式に「国際仏旗」として採択されました。(※日本仏教会HPより)

 

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旧仏旗

 

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ブッダガヤにはためく新仏旗(※2015年、インドへ行った時に撮影)

木魚

2017.06.30 Friday

「ポクポクポク・・」と皆さんが一度は耳にしたことのある木魚は、もともと食事の時に鳴らされていた魚形の鳴器でした。明の時代にお坊さんが唱えるお経の調子を整える為につくられたものが木魚となり、食事の時に鳴らされていた木魚は「梆(ほう)」と呼ばれるようになりました。

 

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昔は「木魚」と呼ばれていた「梆(ほう)」

 

なぜ寺に魚なのかといいますと、まぶたの無い魚は昼夜眠らないことから、怠りなく修行すれば凡(魚)を転じて聖(龍)となることができるということで、上の写真のような形になりました。

 

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滝を昇る魚と雲から顔を出す龍

 

現在の木魚の形は雌雄の龍(※元は魚)が珠をくわえている姿となっております。木魚の材質、バイ(※木魚を叩く棒のようなもの)にもよりますが、大きければ大きいほど「ドッドッ・・」といった低音が増し、小さくなるほど「ポクポク・・」といった高音になります。

 

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瑞雲寺にある木魚

 

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横から撮影

 

一本の木から木魚の形に削り、さらに音が鳴るように隙間を利用して中身も削るという職人の技術には目を見張るものがあります。雌雄の龍が一つの珠をくわえているデザインは一緒であるものの大量生産できない一品物ですので、各寺院様の木魚を拝見する際、微妙に違っていることに新鮮さを感じます。

 

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小さい木魚と大きな木魚の比較

 

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木魚を逆さまにしてみました。雌雄の龍が珠をくわえる姿となっているのがおわかりだと思います。

 

木魚がいくら良いものでも、叩き手が悪ければいい音が出ません。私の修行時代も先輩に教えられ練習しました。ただ叩くだけではダメで、手首のスナップを利かせるのが重要だと教えられた記憶があります。まるで野球部ですね。

 

木魚は誰でもバイを持って叩けば音が出ます。しかし、簡単に見えるものほど、聞き手はすぐに叩き手の力量がわかってしまうという実に難しく奥が深い鳴器だと思いました。

 

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瑞雲寺の一番小さな木魚

 

小さくなると彫刻が甘くなり、何となく仮面ライダーに似てきます。それもまた木魚の魅力の一つです。

 

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仮面ライダー型の木魚はありませんが、ウルトラマンの木魚は製作・販売されていたようです。

昭和のゲーム

2017.04.29 Saturday

今日は昭和の日。昭和の頃は「天皇誕生日」という祝日でした。

以前、当ブログでは昭和の日にちなみ、ラジカセを紹介しました。

 

ラジカセ以外に昭和なモノは何かないかと探してみると、なんと机の引き出しの中にありました。

昭和なモノの正体は、ボタン電池二つで動く液晶ゲーム機です。

 

この液晶ゲーム機の名前は「バクダンマン」。

ビルから敵が落とす爆弾をただひたすら受け取るゲームです。

 

ロールプレイングゲームのようにクリアするのに何十時間もかかるものではなく、長くて10分で終わってしまいます(※私は1万点が限界)。爆弾を受け取る場所は、真ん中、右、左の三か所、移動は右・左のボダンだけです。点数が増えていくにつれ、ビルから落ちる爆弾の速度が増し、集中しないと受け損なってゲームオーバー(※3回受け損なうとゲームオーバー)になってしまいます。この緊張感が単純ながらとても面白いゲームになっています。

 

瑩山禅師のお言葉に「茶に逢うては茶を喫し、飯に逢うては飯を喫す」というのがあります。

意味は、お茶を飲む時はお茶を飲むのに徹し、ご飯を食べる時はご飯を食べることに徹しなさいということです。

 

このバクダンマンは、〇〇しながらというのができないほど一事に徹することができる液晶ゲーム機なので、今でも空いた時間に手にとることがあります。皆さんにおすすめしたい液晶ゲーム機ですが、あまりに古く手に入れにくいため紹介するに留めます。

 

今日は昭和の日にちなみ、昭和のゲームを紹介しました。

 

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バンダイ「バクダンマン」。一事に徹することができるゲームです。

トゲのある梵鐘

2015.10.14 Wednesday

トゲのある梵鐘をご存知でしょうか?

名古屋のお寺で修行していた時、あるお坊さんが「名古屋市内に不思議な形をした梵鐘があるんだよ」と、私に話をしてくれました。「不思議な形ってどのような形なんですか?」と尋ねると、そのお坊さんが言うには、その梵鐘にはトゲがあるらしいとのことでした。修行中は勝手に外に出る事は禁じられていましたので、トゲのある梵鐘を見ることなく、時とともに忘れてしまいました。

月日が経ち2011年、岡本太郎生誕100年を記念したアートのフィギュアが販売され、その中に「歓喜」と名づけられた異様な形をした梵鐘がありました。その形はまさに、名古屋のお寺で修行していた時、お坊さんに聞いたトゲのある梵鐘でした。

修行していた当時、見ることが叶わなかった私は、何とか梵鐘のフィギュア(定価400円)を手に入れることができました。

それでは普通の梵鐘とトゲのある梵鐘を比べてみたいと思います。

普通の梵鐘(瑞雲寺)

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梵鐘の基本形


こちらがトゲのある梵鐘

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「どうせ作るなら古今東西、いまだかつてなかったような形にしたい。鳴らなかったら勝手にしろ。ならばいっそ純粋な感動、造形をそのまま叩きつけてみよう。過去のキマリや、こちらの素直な情熱をはばむ、あらゆる制約、危険を蹴とばし、体当たりして闘ってこそ、ひらけるのだ。それにこうゆう一見無謀と思われる冒険をのりこえると、いいようのない自信が全身をみたしてふくれあがってくる。」(「原色の呪文」「梵鐘を作る」文芸春秋1968年)

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「宇宙を象徴するモチーフ。この一個の鐘に万物を濃縮するのである。それは仏教の教義の中でも広大な宇宙観である。『曼荼羅』の思想に通じる。鐘自体が曼荼羅であって、打ち鳴らすと、仏・菩薩・妖怪・人間・動物・宇宙全体が叫ぶ。もっとも灼熱的な部分は人間である。無数の角のように突き出した腕、宇宙に舞、身を躍らせ、絶対に向かって呼びかけ、手を差しのべる。迷いながら絶対に合一する。」(「原色の呪文」「梵鐘を作る」文芸春秋1968年)

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鐘の下部には、坐って瞑想する仏、動物、サカナ、妖怪、その他、つまり森羅万象のレリーフ。それを打ち鳴らす音色は、よろこび、悲しみ、苦痛、うめき声、それらがいいようのない振幅で響きわたる。」(「原色の呪文」「梵鐘を作る」文芸春秋1968年)


この梵鐘は現在、名古屋の久国寺様(曹洞宗)にございます。
自転車旅ではあろうことか通り過ぎてしまったお寺さんです。
今度名古屋に行くことがあれば行って鳴らしてみたいですね。

塔婆専門店

2015.08.08 Saturday

今日は連日の猛暑から解放された涼しい一日でした。
ここぞとばかりに、お盆に向けて墓地の見まわりに行ってきました。

瑞雲寺境内にある歴代住職のお墓に二本の角塔婆が立っています。
片方の角塔婆の屋根の下では蛙が休んでいました。

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角塔婆の屋根の下で休む蛙


寺に戻り、角塔婆が気になりましたのでネットで調べてみると・・・
あるわけないだろうと思っていた塔婆専門のサイトとブログがあったのです。

正直言って「塔婆」というあまりの専門性に驚いてしまいました。
食事であればカレー・うどん・ラーメン・牛丼に特化したお店が一般的になっていますが、「塔婆」に特化したサイトで一体誰が購入するのかといえば、間違いなくお寺さんでしょう。

もし私が塔婆屋さんだったら、顧客になるであろうお寺さんに対しブログに何を書けばいいのだろうかと真剣に考えてしまいました。例えば「環境にやさしい一年で朽ちる塔婆」「墨が滲まない塔婆」の御紹介や、塔婆作成の作業風景などでしょうか。

塔婆の歴史や成り立ちなどの話で何とか続けられるかもしれませんが、あまりの専門性にいずれネタ切れを起こしそうなので、思い切ってブログを閉鎖しホームページ一本に絞って商売するでしょうね。

今日は余計なことで悩んでしまいました。

インドの仏展で購入したモノ

2015.05.16 Saturday

インドの仏展を見終わりミュージアムショップに立ち寄りました。
記念にインドの仏の図録を購入。値段は2500円でちょっと高めでしたが、ページをめくるたびに思い出せるのが図録の良いところだと思います。

その他に面白いものとして、レトルトのインドカレーが販売されていました。
結局、私が購入したのは、図録の他にポストカードと謎のキーホルダーです。

購入したものを写真で紹介したいと思います。

図 録

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インドの仏の図録

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弥勒菩薩坐像

ポストカード

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左より仏足石、菩提樹(悟り)の礼拝、法輪(教え)の礼拝のポストカード
(※お釈迦様を象徴表現しているのを中心に選びました)

謎のキーホルダー

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インドの仏と描かれた謎のキーホルダー

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暗闇でボタンを押すと弥勒菩薩様が投影される仕掛けになっています。

イム?

2015.02.12 Thursday

先週、東京で用事がありましたので新幹線に乗ってきました。
ところで新幹線の座席の後ろに「通販用カタログ」と「トランヴェール」という無料の冊子があるのをご存知でしょうか?
実を言うと私の新幹線に乗る楽しみは、外の風景とトランヴェールを読むことなのです。

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無料でもらえる「トランヴェール」2月号

ページをめくってみると、「北陸が育んだ天才絵師たち」と題して、長谷川等伯の絵が載っていました。
長谷川等伯というと、高校生の頃に見た美術の本の中で紹介されていた「松林図屏風」が印象的でした。白い紙に墨一色だけで雨上りの松を描いた「松林図屏風」のレプリカが手に入ることがあれば、まずは瑞雲寺本堂か庫裡に置きたいですね。(※屏風のレプリカといえど結構いい値段はするのではないでしょうか)

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国宝「松林図屏風」

私の中で等伯というと「松林図屏風」の印象が強いのですが、「涅槃図」を描いているのを知って驚きました。
トランヴェール2月号に「松林図屏風」とは対照的な、カラフルな「涅槃図」が掲載されており、しばしの間、眺めていましたら面白い動物を発見。下に涅槃図の写真を載せておきましたので、探してみてください。

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仏涅槃図

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いるはずの無い動物がいます。





正解は・・・








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猫でした。

もし新幹線に乗ることがありましたら、トランヴェールで探してみてはいかがでしょうか。



上野に到着し、上野公園付近を歩いていると遠くに変な文字を発見。
何やらインドイムと書いてあるようです。ところでインドイムって何でしょうか?近くに行ってみました。

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赤丸のところに注目

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近くに行って確認してみると、「インドの仏」と書いてありました。


3月17日から5月17日、東京国立博物館で特別展があるそうです。
次回、東京へ行くことがあれば国立博物館に立ち寄ってみたいですね。

坐禅のアプリ

2014.12.10 Wednesday

私が坐禅をする時は、時計に頼らず香炉に線香を立てて行います。
なぜ時計を使わないかといいますと、時間に囚われてしまうからです。
香炉に線香ですと「あと何分」などと時間に囚われることなく坐禅に取り組めるような気がします。

線香を使うといった昔ながらの方法を選んでいる私ですが、今では坐禅のアプリという便利なモノが出てきました。スマートフォンを使用されている方にとって、坐禅に興味を持つきっかけになるのではないでしょうか。

約2年程前に坐禅のアプリ「雲堂」を当ブログで紹介しましたが、曹洞宗でも出したようです。
早速ダウンロードして、どちらが良いのか実際に坐って比較してみました。

雲堂

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こちらが「雲堂」のアプリ。時間の設定は1分間から60分間。

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このアプリは、累積坐禅回数と時間が表示されるところが良いですね。
回数や時間が記録されることによって、坐禅に対するモチベーションが持続できるのではないでしょうか。
また、坐禅をした人数が表示されるなど、自分一人だけじゃないと感じさせる機能が素晴らしいです。


曹洞宗公式アプリ「心の鏡

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こちらが「心の鏡」のアプリ。坐禅と写経ができます。

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このアプリのすごいところは、坐禅中に体が動くとバイブと音が鳴りグラフに反映するところです。
初心者にとっては、良い機能だと思います。

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試しに1分間やってみました。写真のような感じで記録されます。

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時間の設定は1分間から60分間。

どちらも無料ですのでダウンロードしてみてはいかがでしょうか?

立ち寄りたいお寺

2014.10.16 Thursday

今、藤子不二雄A先生の自伝的漫画「愛…しりそめし頃に…」を読んでおります。
この漫画は「まんが道」の続編で、昭和30年代、若き漫画の巨匠達とトキワ荘で過ごした日々が描かれています。

藤子不二雄A先生が、お寺の生まれというのは噂で知っていたのですが、本当だとは思ってもみませんでした。もし漫画家になっていなければ富山のお寺の住職になっていたのでしょうか?

現在、生家であるお寺の境内には「忍者ハットリくん」「怪物くん」「プロゴルファー猿」「笑うセールスマン」の石像があるそうです。13年前の自転車旅の時は、あろうことか素通りしてしまいました。今思うと悔やまれるところです。
もし、富山県に行くことがあればぜひ立ち寄りたいお寺ですね。

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「愛…しりそめし頃に」

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手塚治虫先生といえば・・・お医者さんなら「ブラックジャック」、お坊さんなら「ブッダ」ですね。
一番多く読んだのは「ブラックジャック」。なぜかと言いますと、中学校の図書室に全巻あったからです。

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自分も本堂で遊びました。

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曹洞宗のお寺だったんですね。

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気持ちが痛いほどわかるシーン。