守り刀

2019.02.04 Monday

火葬場で読経をする時、棺の上に守り刀が置かれているのを目にします。キラッと光る刀は相手を威嚇し斬るといった武器としてのはたらきがあります。亡くなった方のそばに刀を置くことによって魔物や悪霊を祓う力があるとされているわけです(※所説あります)。光るものといえば鏡。これも刀と同様、光かがやきものを映し出すことから魔物や悪霊を祓う力があるとされ、亡くなった方のそばに置かれたそうです。実際、自転車で旅をして、周りに何もないところで野宿をした際、枕元に十徳ナイフをそばに置いて寝ると安心することがありました。おそらく守り刀の考えと通じるものがあるのだと感じました。

 

金山地区の台町古墳で出土されたものに六鈴鏡と直刀があります。古墳時代の人々も光ものをそばに置くことによって安心してあの世に旅立たれたことと思います。

 

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台町古墳出土の六鈴鏡と直刀

 

六鈴鏡・直刀の他に出土されたものに蕨手刀(わらびてとう)があります。この刀は金山歴史散歩という本によりますと、大正年間に金山の横穴墓から出土されたと伝えられています。実戦に適応された造りで制作年代は八世紀ごろと推定されています。蕨手刀とは刀を持つ柄の部分が山菜のわらびのような形をしていることから、この名前がつきました。

 

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蕨手刀

 

この蕨手刀は副葬された刀とは思われないほど錆びていないようで、どのような刀だったのかずっと前から興味を持っていました。金山歴史散歩では白黒の写真の為、どのような色をしているのかわからないものの、切れ味はとても鋭そうな印象を受けました。

 

つい最近、日本の歴史という朝日新聞社発行の本を読んでいるとき、台町古墳出土の蕨手刀がカラーで出ているのを発見。紙面から受ける輝きに感動してしまいました。

 

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赤い矢印の刀が、台町古墳から出土されたと伝えられる蕨手刀。

 

説明によると、台町古墳から出土されたと伝えられる蕨手刀は鉄質がよく残り研磨することのできる稀有なものだそうです。鍛え肌には鎌倉時代の日本刀と共通する点が多くみられるとのことでした。

 

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蕨手刀の発見分布図

 

台町古墳のある所は、金山という名前の地区です。金山の地名の語源は良質の鉄が取れたことから名づけられたそうです(※武田信玄の兜にも使われたという伝説がある)。また、鉄分を含んだ土を使い金山紬として江戸時代、仙台藩の特産品として名が知れ渡ったといいます。鉄の取れた地域名は鬼形(正式には上片山)です。鬼という字を使った地名には鉄に関することが多いと聞いたことがあります。良質な鉄が取れた金山鬼形地区ですが、この蕨手刀はどこで造られたのかは不明です。

 

最後に守り刀という習俗を通じ蕨手刀はもしかして金山で造られたのでは?と想像するのも面白いものだと思いました。

 

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蛭田鉄山跡(※入口をコンクリートでふさいである)

 

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鬼形山の麓で見つかる鉄を作る過程で出る鉄滓?

 

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